株式投資の世界では、「どこまで上がるか」「いつが底か」を見極めるのは非常に難しいものです。そんな中で語り継がれてきた格言が「頭と尻尾はくれてやれ」。この格言は、投資家にとって冷静な利確と損切りの重要性を示す貴重な教訓です。
「頭と尻尾はくれてやれ」とは、株価の底(最安値=尻尾)から買い、天井(最高値=頭)で売ろうとするのではなく、ある程度上がったところで買い、ある程度上がったところで売るべきだという意味です。つまり、「最安値で買って最高値で売る」のような完璧なタイミングを狙うのは危険であり、真ん中の“美味しい部分”だけを取ることが安全かつ賢明な投資判断だと教えています。
Aさんは、ある日経平均連動型ETFを15,000円で注目していました。大きな調整のあと、反発の兆しが見えたところで16,000円で購入。数か月後、20,000円まで上昇しましたが、「もう一段の上昇は期待しづらい」と判断し、19,500円で売却。その後、相場は21,000円まで上がったものの、その後に暴落。Aさんは「天井までは取れなかったが、確実に利益を得られた」と冷静に振り返り、満足のいくトレードとなりました。
Bさんはある成長株を1,000円で購入。急成長ニュースを受けて株価は1,800円まで上昇。しかしBさんは「2,000円はいくだろう」と判断し、利確を見送りました。結果、翌週には悪材料が出て1,200円まで急落。そのまま下落トレンドに入り、含み益は幻に。「欲張りすぎて売り時を逃した」と後悔する結果に。まさに「頭まで取ろうとして失敗”した例」です。
「頭と尻尾はくれてやれ」は、投資において最も難しい“天底を狙う”ことへの戒めであり、利益を確実に得るための実践的な指針です。特に初心者や兼業投資家にとっては、毎回完璧な売買を狙うよりも、中間利益で手堅く利確することの方が重要です。
デイトレード歴の長い私・株兵ですが、「利確後に株価が下がり続けて、利益をしっかり確保できたナイストレード」や、「利確せずに含み益が消えてしまったバッドトレード」は、日常的に繰り返し起こるものです。そのため、「頭と尻尾はくれてやれ」という格言を知ってはいても、実際の場面でそれを忠実に実践するのは容易ではありません。その日の最安値で買って、最高値で売り抜けるような完璧なトレードは、おそらく熟練のデイトレーダーであっても現実的には不可能でしょう。だからこそ重要なのは、テクニカル指標、自分の経験、株価材料、地合いなどを総合的に判断し、「ここが底値だ」と思える場面でエントリーし、その判断が誤っていた場合には、すぐに損切りを行うというルールを徹底することです。買いと損切りはセットです。同様に、利益確定の判断においても、総合的な分析のもとで「ここが天井だ」と判断したタイミングで売却し、その判断が外れて株価がさらに上昇するようなら、すぐに買い直す柔軟さが求められます。こうした対応を積み重ねていくことで、「頭と尻尾はくれてやれ」という格言の精神を少しずつ実践できるようになるのだと感じています。まだ安定した成績は出せていませんが、日々反省と分析を重ねながら、いずれ大きな成果に結びつけられるよう、真摯に相場と向き合っています。