株式投資をするうえで忘れてはならないのが、「売り」に対する認識の重要性です。株式相場には多くの格言がありますが、中でも「買いは家まで、売りは命まで」という言葉は、投資家に強烈なインパクトを与え続けています。「命まで!」の言葉、恐怖の言葉ですね。この記事では、この格言の意味、成功例・失敗例、そして長期的に利益を残すためのリスク管理について解説します。
この格言の意味は、株を買う(=現物取引)場合、損失は投資した額までに限定されるのに対し、空売り(=信用取引で株を売ってから買い戻す)では、理論上無限の損失が発生する可能性があるというものです。現物株の下落リスクは「ゼロ」までですが、空売りは株価がどこまででも上昇する可能性があるため、損失に上限がありません。つまり、買いの失敗は「家を失う程度」で済むかもしれないが、売りの失敗は「命を落とすほど」の危険すらある──という強烈な警告が込められています。
2021年、米国の個人投資家集団「WallStreetBets」によってゲームストップ(GME)株が急騰しました。この時、多くのヘッジファンドがGMEを空売りしていましたが、個人投資家の買い圧力によって株価は数日で10倍以上に跳ね上がります。ある個人投資家は、空売りのチャンスに見えたGMEの急騰を前に、「売りは命まで」という格言を思い出し、空売りを回避。結果的に、爆発的な踏み上げによる損失を免れました。このケースでは、理屈では過熱感のある売り場でも、「空売りは危険すぎる」という判断が命取りを防いだ良い例です。
逆に、GME空売りで巨額の損失を出したヘッジファンド「Melvin Capital」は、まさにこの格言の通りの事態に陥りました。空売りによってリスクを取りすぎた結果、株価の急騰により数十億ドル規模の損失を被り、外部からの資金注入なしでは破綻寸前でした。また、個人投資家の中にも「絶対にこれは下がる」と空売りを仕掛け、逆に株価が急騰し、追証(追加保証金)で資産を失った例も多数報告されています。空売りの怖さは、「思惑が外れたときに、損失のコントロールができなくなる」という点にあります。
空売りが危険な理由には以下の点があります:
損失に上限がない:買いは0円が下限、売りは株価が無限に上がる可能性がある。
踏み上げリスク:空売り残高が多い銘柄で買い戻しが集中すると、株価が急騰する(=ショートスクイーズ)。
信用取引の期限・追証リスク:保証金を割り込むと強制ロスカットや追証が発生し、元本以上の損失になる。
そのため、初心者や資金管理に自信のない投資家にとって、空売りは極めて危険な手法と言えます。
「買いは家まで、売りは命まで」という格言は、単なる言葉遊びではありません。株式投資におけるリスクの非対称性を端的に示しており、空売りがいかに危険かを教えてくれる重要な知恵です。相場において「絶対」はありません。どんなに確信があっても、株価は理不尽な動きを見せることがあります。特に信用取引や空売りに手を出す際は、「損失の上限がない」という前提に立ち、資金管理・損切りルール・メンタルの安定が欠かせません。この格言を軽視した者は、大きな代償を払うことになります。逆に、この格言を正しく理解し、危険を避けることで、長く安定した投資を続けていくことができるのです。
「買いは家まで、売りは命まで」、これは初心者の頃から知っていた相場格言で、一番有名な格言かもしれませんね。そのため、空売りには慎重な投資家が多いのかもしれませんね。比率的にも、空売りメインにやっている投資家は少なく、おそらく皆さん買いメインでやっていると思われます。株兵も、もちろん「買い」メインです。この相場格言のおかげ?なのか、空売りをした際は、より慎重なトレードをするように心がけています。初心者の頃、ストップ高に張り付きそうな銘柄を、逆指値もしないで「空売りしたこと」がありますが、今になって考えれば、恐ろしいことをやっていました。最悪、10連続寄らずストップ高も可能性はゼロではないので、トレードとしては一番やってはいけないですね。最近は、空売りするときは、逆指値はしっかりと設定するようにはしているので、おそらく「命まで」はないと思いますが、し忘れなんてこともあるので、細心の注意を払って、トレードしていきたいですね。